目次
作品タイトルの付け方はとても大事!
絵画でも陶芸でも、作品が出来て
展示発表する際に必ず必要なのが
「作品のタイトル(作品名)」と
「作家名(雅号)」ですね。
この作品タイトル、
皆さんはどうやって決めていますか?
皆さんこんにちは。
JOFAアートスクール校長
曼荼羅アーティストのMASAKOです。
今日のテーマは、質問の多い
【作品タイトル】
・作品タイトルの付け方
・絵の説明の書き方
について、徹底的に解説いたします。
よほど慣れた作家さんでない限り
作品タイトルを考えるのって
創作活動の最後ではないでしょうか?
展示会やコンクールでは
作品を仕上げるまでに精も根も尽き果てて
なんとか、やっと締め切りに間にあった~!
あとは出品票を描くだけ!
うわ、作品名の欄がある~
なんて書こう?
ん~もう、悩んでる時間もないし
適当でいいや。
・・・ってなる人も結構多いと思います。
(体験者は語るw)
作品タイトルって大事なのに
実にもったいない!!!
正直に白状しますと
私は美術展の審査委員を任されるまでは
(作品が何より大事!
作品さえよければ題名は重要ではない)
と誤解していました。
でも、実際に審査してみると
それは大きな間違いだったと実感しました。
大抵の審査では名前は伏せます。
情報は作品とタイトルだけ。
作品タイトルは絶対に見ますし
ここに
・作者の創作意図
・メッセージ
・使った技法など
少ない情報の中で、タイトルは
とっても貴重で大事な情報源
ということが分かったのです。
私のアートスクールでも展示会前に
ほぼ全ての生徒さんたちから
「作品タイトル」の相談を受けます。
「作品の題名をつけないといけないんですが
なかなかいいアイデアが浮かびません」
「無題で良いでしょうか」
「絵の説明の書き方も分かりません」
物つくりである以上
タイトルで悩んだことがない人って
いないかもしれませんね。
安心してください。
この大事な
作品タイトルを
かっこよく決める方法を
これから丁寧に解説していきます。
とても大事な内容なので
このページはいつでも見返せるように
ブックマークしておいてくださいね。
ブックマークをよろしくニャン♪
作品タイトルを決める最適なタイミングは創作の先か、後か?
作品タイトルを決めるのに最適のタイミングは?
作品タイトルはいつ決めるか?
文章も絵画も両方書く私の経験では
タイトルを考えるタイミングは
作品の創作ジャンルにもよると感じます。
作品タイトルを決めるタイミング~右脳を使う創作の場合
脳の働きをざっくり左右に分けると
・左脳は文字や言葉の論理・思考
・右脳は五感でイメージする知覚・感性d
作品タイトルは言語なので
これを考える時は主に「左脳」を使います。
さて
陶芸や絵画など「右脳」を使う創作の場合
意識がイメージに集中しているので
題名の事などすっかり忘れています。
左脳で「タイトル」を考えるのは
途中で一服しているときか
たいてい、創作が一段落した後になります。
ただし、プロになると
作品タイトルが必要だと分かっているので
意識して早めに考えることもあります。
また、同テーマの連作の場合は
「~鳳凰Ⅳ」のように
タイトルは自動的に決まっています。
でも、無意識レベルでは
創作中に作品タイトルのことは
あまり意識に上らない気がします。
作品タイトルを決めるタイミング~左脳を使う創作の場合
作品にもいろんなジャンルがあります。
小説、随筆、論文、ポエムなど
言語分野の創作の場合は
「左脳」をメインに使います。
創作もタイトル決めも左脳なので
創作の前にタイトルを考えておくのも
ごく自然な流れです。
私の場合は
あらかじめ何を書くかを決める時に
いくつか「作品タイトル」の候補を浮かべ
すべてメモしておきます。
作品が出来た後に
最終的にこれで最適かどうか?
をチェックして確定するような感覚です。
なので
創作の前に
タイトルを考えることはできるけれど
最終チェックは作品が完成してから
ということになります。
作品タイトルを確定するのは作品が完成してから
以上を考えると
作品のタイトルを考え始めるタイミングは
創作ジャンルによっても
脳の違いで異なる傾向があるけれど
作品がいつも
計画通りに完成するとは限らないので
作品が完成してから、最後に
作品の全てを自分の頭で把握した上で
その作品を見てくれる人たちを思い浮かべ
過不足なく思いが伝わるように
「これぞ、最適なタイトル」
という純度の高いタイトルに絞り込む
必要があります。
見る人へのメッセージという意味でも
作品のタイトルは
どうでもいいオマケではありません。
作品タイトルは
とても大事な作品の一部です。
作品タイトル~「無題」ってどんな印象?
「作品の題名が浮かばない~」
「じゃあ、無題にしたら?(笑)」
「あはは、そうね~(笑)」
なんて会話もよく聞きます。
確かに、「無題」って書いてある作品も
展示会場によくありますよね。
ありか、なしか
で言えば「あり」です。
でも「無題」って、実際どうなんでしょう?
私はあまりお勧めしません。
理由はこれからお話ししますね。
「無題」という作品タイトルにした場合のわずかなメリット
私は自分の作品を「無題」にした記憶は
過去にありません。
でも作品タイトルを
「無題」にした人と話す機会はあります。
「どうして無題になさったのですか?」
と作家さんに尋ねて多く返ってくる反応は
だいたい苦笑交じりの
モゴモゴとした答えが多い気がします。
・見た人に自由に想像してほしい
・作品を見てほしいから言葉は邪魔
・時間がなかった
・面倒くさい
・タイトルとか考えるのが苦手
・タイトルを付けると先入観や
押し付けがましくなるのが嫌
・なんとなく
もしも「無題」愛好家さんで
確固たる信念と情熱をお持ちの方が
おられましたら申し訳ないのですが
私が聞く範囲では
苦笑交じりのネガティブな答えが多くて
その反面でふと
このお方の中では
斜に構えた感じがクールでオシャレな
印象をお持ちなのかな?
熱い思いをぶつけるのはダサい感覚かな?
作品を先入観なく見てもらいたい
好きに感じてほしい
言葉の文学性を排除し
純粋に色彩や形態だけを鑑賞して欲しい
そんなポジティブな意識の表れもあり得ます。
作品に作品名を付けない。
ヒントもあげない。
私の作品の前に長く立ち止まって
見る人に自力で探してほしい。
そして私の世界観全体を感じてほしい。
(多くの観客にとっては酷な注文)
そう思って「無題」にしたとしたら
恐ろしいほど強烈な自我です。
そういう意味では作品タイトルを
同じ「無題」と付けたとしても
非常に自我が薄い作家さんもいれば
強烈な自我を持てあますが故に・・・
ということも考えられます。
両極端ですね。
「無題」という作品タイトルにした場合の多くのデメリット
次に「無題」タイトルのデメリットについて
①作品の管理者に迷惑
作品タイトルは名札的意味もあります。
「海」「ひまわり」など題名がある作品は
作品の名簿作り、展示、購入記録管理・・
何かと助かります。
「無題」がたくさんあるとどうでしょう?
展示会場ではたくさんの作品を短時間で
展示したり、審査したり、かなりカオス。
その中で「無題」の作品が多いと
かなり厄介で、混乱を招くもとになります。
こういうことが想像できないという点で
この作家はちょっと周りが見えていないか
経験値が少ないか、利己性が強い人かなぁ
という印象も否めません。
また、主催者側の感覚で言うと
もしも展示会場の作品が
「無題」だらけだったら、、、
「どの作品が好きだった?」
「あー、あの無題の作品」
「え?どの無題?いっぱいあったよね」
「えっと、分からない・・・」
盛り上がらないですよね~。(笑)
②見る人に不親切
あなたの絵を見る者はプロばかりではない
むしろ素人さんも圧倒的に多いし
プロでもあなたのことを知らない人、
あなたの絵にまだ興味がない人も多いでしょう。
それでも
魅力的な作品に適切なタイトルがあれば
「なるほど、この作者はこれを伝えたくて
この作品をこうやって作ったんだな~」
と楽しく鑑賞できます。
でもタイトルがないと?
何のヒントもない状態で
「さぁ、私が何を作ったか、
あなたの感性で当ててごらん」
と試されている気分になります。
そこそこな齢の女性に
「わたし、いくつに見えます?」
って聞かれた時のような
何とも言えない面倒くささw
観客を試したいの?
不快だなぁ、不親切だなぁ
と感じる人も
私の周りにはわりと
一定数おられるのは事実です。
作品によほど魅力がない限り
「言いたくないなら別にいいよ。
面倒くさい」
と思われるでしょう。
もし、見せたくなければ
人前に出さなければいいし。
もし、見て頂くなら、
見てくださる方を不快にせず
心地よい配慮すべきかと。
作品鑑賞でストレスを与えては
本末転倒だと感じます。
結論から言いますと
見る人は題名が欲しいと思うことが多い。
タイトルはあった方が親切ですね。
③作者にとっても不利
タイトルがないと
考えること、手抜きした?
努力を放棄したイメージ
独りよがりで不親切な感じ。
偏屈な作家なのかな
ちょっと、そんな印象を持たれます。
「何が言いたいんだろう?」
題名見たら「無題」になっている。
(あ、そう。別にいいけど)
そんな風に作品が思われていたら
とても残念ですね。
「無題」という作品タイトルは美術展でも損をする
美術展でも「無題」は損をしています。
評価しづらいからです。
丁寧なタイトルの作品はやっぱり
作品も丁寧で配慮がある作品が多いです。
表現、技術、センス・・・
各項目で審査する場合に
あなたの「強み」を
審査員に確実に伝える手段が
「タイトル」や「作品説明文」です。
審査員は何百点の中から
あなたの作品を見ています。
各作家のエネルギーがこもった
力作を前にして、時間制限もあり
気力体力を使うし、目も酷使します。
あなたの作品だけに
長い時間は割けません。
そこで分かりやすく技法名や
題名がきちんと書いてある作品は
確実に評価も上がります。
想いが伝わるタイトルで
共感を呼ぶことが出来たら
プラス得点も入ります。
作品の良さはもちろん大事ですが
+良いタイトルがついていると
トータルアートとして
やはり印象が良くなります。
美は細部に宿る。
トータルであなたの作品です。
わずか数文字です。
ここを手抜きすると
失うものも大きいです。
総合的に考えると
タイトルはしっかり考えて
つけた方がいいと感じます。
ただ、アートに答えはありません。
他人がどう思おうと
私は「無題」が好きなんだ!
という方はそれでもいいと思います。
わたしが書いたのはあくまで一般論で
多くの人がどう感じているか、です。
不利を承知の上で
あえての反骨精神で
強烈な自我を表現するのも
またアートの面白さですね。
作品タイトル~美術展で評価が上がるタイトルは?
美術展覧会や工芸展は
匠たちが技術を競う場です。
入選、入賞者たちはみんな
・どんなジャンルの
・何という技法を使っているか
タイトルにきっちり書いています。
技法+形状+「イメージタイトル」
の順序が一般的です。
アマチュアの方は
「イメージタイトル」だけで
出品されることがあります。
受付はこれでも通過できますが
審査では不利です。
あなたがせっかく難しい技を使っても
正確に評価されないことがあるからです。
裏話的な情報になりますが
実は美術展の審査員は
あなたの作品の権威とは限りません。
プロでも作家でもない
「大学の先生」や
「地元の知名人」
「タレント」
「アートは素人の有名人」
こういう人がゲストで
審査員に混ざることもよくあります。
くわしい作家であれば
作品を一目見ただけで
あなたがどんな材料で
どんな技法を使ったか
書かなくてもある程度わかります。
でも、残念ですが
「素人審査員」もいらっしゃるのです。
なので
良く分からないまま審査されることも
まあまああるのです。
だからこそ
「高度な技を使っています!」
と胸を張って題名に記載します。
展覧会は特に
自分の技と強みと表現を
しっかり言葉にして題名で伝えましょう。
新技法を開発した場合は
新しい技術名を命名するのもOKです。
新しい技術の開発
誰のマネでもないあなたのオリジナルは
美術展で評価が上がりやすいので
タイトルで大いにアピールしましょう。
作品タイトル~工芸品の場合は「題名のテンプレ」があります
作品タイトルの決め方~伝統工芸・陶器
陶芸展に出品するときは
あなたが出展予定の図録を取り寄せて
参考にすれば一目瞭然です。
あなただけタイトルが悪くて
不利にならないように
ここはしっかり読んでください。
これは出品規約にあるわけではなく
暗黙の了解的なものですが
伝統工芸分野では
陶芸作品のタイトルは一般に
技法+形状+「イメージタイトル」
の順に組み合わせます。
私の作品を例に挙げて解説しましょう。
①左上の桜の陶器は
技法:桜釉の象嵌(ぞうがん)という技法
形状:菓子鉢(かしばち)です
イメージタイトル:「花吹雪」
→区別するため、「○○」という表記にします
これを足して、作品タイトルは
桜釉象嵌菓子鉢「花吹雪」
となります。
②右上の緑の作品は西部伝統工芸展で
「西日本琉球新報社賞」を受賞した
私の作品です。
技法:練上げ(ねりあげ)という技法
形状:扁壺(へんこ)です
イメージタイトル:「NATURE」
→区別するため、「○○」という表記にします
これを足すと作品タイトルになります。
練上げ扁壺「NATURE」
(ねりあげへんこ ネイチャー)
出品票には「フリガナ」という欄があるので
漢字表記の上か下に
よみやすい楷書で読み仮名を書きましょう。
③下の作品は盆栽アートです。
技法:光触媒 という技法
形状:盆栽アート です
タイトル:「紅梅」
足すと
光触媒盆栽アート「紅梅」
となります。
大体わかってきましたか?
陶器の場合は実用食器などもあるので
イメージタイトルを省略してもいいです。
この場合は
釉薬名+デザイン名+形状です。
「灰釉大鉢」
「備前大皿」
「絵唐津草文皿」
「布目象嵌百合文長皿」
「~文(紋)」は~の模様という意味です。
ヒマワリの絵なら
「向日葵文」と表記します。
作品タイトルの決め方~伝統工芸・着物
伝統工芸の場合は着物も似た構造です。
技法+形状+「イメージタイトル」
いくつか例を挙げますと・・・
江戸小紋着物「梅」
友禅着物「白波」
献上博多織帯「桃源郷」
紬織着物「春来る」
のようになります。
作品タイトルの決め方~伝統工芸・うるし(漆器)
伝統工芸の場合は
木工や漆芸も似た構造の題名です。
多いのはこのテンプレです。
技法+形状+「イメージタイトル」
乾漆鉢
螺鈿短冊箱「月影」
イメージタイトルを付けない場合は
技法・デザイン名+形状です。
縄文蒔絵箱
彫漆花文八角箱
作品タイトルの決め方~伝統工芸・人形
伝統工芸の場合は
人形も似た構造の題名ですが
形状はいりません。
多いのはこのテンプレです。
技法+「イメージタイトル」
木彫木目込み「希望」
陶彫彩色「仲良し」
いずれにしても伝統工芸展は
匠たちが技術を競う場ですから
入選・入賞者はみんな
・どんなジャンルの
・何という技法を使っているか
きっちり書いています。
展覧会は特に
自分の技と強みと表現を
しっかり言葉にして題名で伝えましょう。
新技法を開発した場合は
新しい技術名を命名するのもオススメ。
以上の基本を押さえて
その他の工芸も同じ構造で考えれば
どこに出しても恥ずかしくない
きちんとしたタイトルが決まるはずです。
作品タイトル~絵画タイトルはかっこいい名画に学ぼう
では、絵画タイトルは
どのように決めるのでしょうか?
絵のタイトルは色々あって
工芸品のタイトルより自由な気がします。
工芸の作品タイトルは
技法+形状+「イメージタイトル」
絵画のタイトルは
技法と形状はほぼ不要なので
「イメージタイトル」
がメインになります。
ただ、イメージのタイトルにも
具象があり抽象があり
描いたものの名前そのままの題名もあれば
内面の感情や主張を
タイトルにすることもあります。
やはりこれらも
いくつかのパターンに分けられます。
かっこいいタイトルを決める前に
まずはどんなパターンがあるか
成功者にじかに学びましょうか♪
成功者とは、歴史に残った
巨匠の名画です。
作品タイトルは名画に学ぼう~見たままのタイトル
ゴッホの「ひまわり」
お花の名前そのままの素直なタイトルです。
モネの「睡蓮」
見たまんまのタイトルです。
絵画展の場合は申し込み段階で
ジャンルを分けてしまいます。
油絵部門、水彩画部門と
基本的に違う分野は競いませんし
形も茶碗やツボといった違いはなく
だいたい額は四角形です。
なので、工芸品のように
「技法」や「形状」を題名に含めなくても
特殊分野でない限りは伝わります。
作品タイトルは名画に学ぼう~見る人の理解を助けるタイトルは強い
私が大好きなルノワールの
「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢
(可愛いイレーヌ)」
見たままに近いのですが
+αで見る人の理解を助けるように
情報が追加されたタイトルです。
「絵画史上最強の美少⼥」ともいわれる
ルノワールの子ども肖像画の代表作。
なんて残念!見る目がないですね・・・。
この絵のモデルとなった少女が
どこの誰で、当時何歳だったか
この絵がどのような運命をたどったか
まで調査できます。
1997年、長野冬季五輪公式ポスターの
原画にもなった
絹谷幸二「銀嶺の女神」
連想させるタイトルですね。
私もとっても好きな画家さんです。「絹谷幸二自伝」
(日本経済新聞出版社)
とても勉強になると思います。
先生にもピカソのような
「蒼の時代」
があることも分かりますし
金箔をはった技法と分かります。
純金箔押しの技法で
複数の画法をMIXした手法です。
伝わるように工夫されています。
+αで見る人の理解を助けるように
情報が追加されたタイトルは
とても強いタイトルの付け方で
数々の賞を受賞されています。
見る人にストレスなく
正確に情報が伝わるのです。
このタイプのタイトルがもっとも
王道を行けると思います。
作品タイトルは名画に学ぼう~シリーズ作品と分かるタイトル
歌川広重の
「大はしあたけの夕立(名所江戸百景)」
「江戸百景」ということは
シリーズ作品の一つなんだと分かります。
海外でもこの手法はあります。
カンディンスキー【CompositionX】
(コンポジション10)
カンディンスキーは
【Composition~】
というシリーズ作品を何枚も描いています。
これは10番目の作品ですね。
シリーズ作品は
作品タイトルの後ろにローマ数字の
I (1)、V (5)、X (10)、L (50)、C (100)、D (500)、M (1,000)
という記号を付けるのが慣例です。
この手法のタイトルは
美術展にも非常に効果的で
この作家はこのテーマに惹かれて
職人的にずっと追及しているのだな
ということが
自動的に伝わります。
・タイトルに悩む必要もなく
・テーマの鍛錬になり
・創作姿勢のイメージもアップできる
なかなかいいタイトルです。
追及したいテーマがあれば
このタイトルでしばらく
連作してみてはいかがでしょうか?
私も今、
「鳳凰I」~「鳳凰IV」と連作しています。
こちらは連作2枚目の作品。
作品タイトルは名画に学ぼう~物語のように長いタイトル
世界一長いタイトルの絵画は
サルバドールダリが1965年に制作した
『”ポップ、オップ、月並派、大いに結構”と題する作品の上に、反重力状態でいるダリを眺めるガラ、その画面には冬眠の隔世遺伝の状態にあるミレーの晩鐘の悩ましげな二人の人物が認められ、前方にひろがる空は、全宇宙の集中するペルピニャン駅のまさに中心で、突如としてマルトの巨大な十字架に変形するはずである。』
という作品です。
長い長い!しかも難解!
これは
世界一長い絵画のタイトルとされますが
ここまで長いと画集や目録などでは
『ペルピニャン駅』
と省略されてしまいます。
ダリほどの実力があるから
今でもこうして話題になりますが
一般の作家には長すぎるでしょう。
でもゴーギャンのこのタイトルなら
ありだと思います。
ゴーギャンの
「我々は何処から来たのか、我々は何者か、我々は何処に行くのか」
愛する娘アリーヌの訃報を受け
ゴーギャンは
深い悲しみと絶望と病に侵され
遺言としてこの絵を描き上げ
大量のひ素を飲んで自殺を図ります。
この絵は右から左に
物語が流れるように構成されていて
母親と赤ん坊がいる右部が
「我々は何処から来たのか」
果実をつむ男がいる中央部が
「我々は何者か」にあたり
老女がいる左側が
「我々は何処に行くのか」
を表現しています。
老女は死を意味しますが
この命は輪廻転生し
右に視線を移すと
再び誕生を意味する赤ちゃんへ
22歳で他界した愛娘のアリーヌの再生
輪廻転生の祈りをこめた枝といわれています。
ゴーギャンのこの作品がもしも
「無題」だったら
ここまでの読解は困難だったでしょう。
長い的確なタイトルの助けに誘われて
私たちはゴーギャンの意図に
より正確にたどり着くことができます。
タイトルの大切さを実感できる名画です。
先ほどのダリの作品は長過ぎましたが
他のタイトルは非常に参考になります。
こちらもぜひご覧ください。
ダリ第13章サルバドールダリ名言~ダリの作品と秀逸な作品タイトル
作品タイトルは名画に学ぼう~主張するタイトルはインパクト大
パブロ・ピカソがスペイン内戦中に描いた
「ゲルニカ」は20世紀を象徴する絵画です。
ドイツ空軍のコンドル軍団によって
ビスカヤ県のゲルニカが受けた
都市無差別爆撃(ゲルニカ爆撃)が主題。
耳を切り裂く悲痛な叫び声が
聞こえてきそうな恐ろしい絵です。
ドイツ将校から
「この作品を作ったのはあなたか?」
と問われたピカソは
「いいえ、あなたたちです」
と答えたという話が残っています。
多くは語らず地名だけ。
でもただの地名ではありません。
風景画に地名なら
そのまんまですが
これはもうタイトルだけで皆が
「あの、ゲルニカ爆撃」だと分かるのです。
シンプルですが、物凄い主張が
込められたタイトルですね。
「アルコール依存症」で
「神経症」だったと言われる
エドヴァルド・ムンクの「叫び」。
人間が抱える不安を可視化した代表作です。
この絵は、ムンクの実体験から
描かれたものだそうですが
これは人が叫んでいるのではなく
自然をつんざく叫びが聞こえて
耳をふさいでいる絵だそうです。
「二人の友人と外を歩いていると、
太陽が沈み始めた。見る見るうちに空が
血のように赤く染まる。私は疲れを感じて立ち止まり
フェンスにもたれかかる。蒼黒いフィヨルドと街の上空が
血と炎で彩られる。友人たちは歩みを続ける。
私はそこに突っ立ったまま
不安に身を震わせる。自然をつんざく終わりのない叫びを感じて」
(『ムンク ムンク・オスロ博物館』より)
ムンクは幼いころに母親と姉を亡くし
自分自身も病気がちでした。
ムンクは、目に見える世界よりも、
目で見ることのできない
人間の内面や感情を
作品に描き出す画家でした。
このタイトルもシンプルですが
非常に強い主張を感じます。
アートでは
「何を伝えたいのか」=主張
が大事です。
描かずにはいられない激しい衝動が
作品になったとき
タイトルにもその主張が
ダイレクトに溢れるのだと思います。
見る人にも強烈なインパクトを与えます。
このタイプのタイトルも
しっかりと王道を行けると思います。
作品タイトルは名画に学ぼう~哲学的で不思議なタイトル
マグリット「大家族」
この作品の中には「家族」も「人間」も
見当たりません。
多くの人は(なぜ大家族???)と
戸惑うでしょう。
マグリットは「哲学的な画家」といわれ
こういうイメージの裏切りによって
鑑賞者を困惑させるのを得意としています。
これがもし「青い鳥」とか「大空」とか
そのまんまのタイトルなら
見る人はもっと浅いところで満足するでしょう。
でも「大家族」・・・なんで???
煙に巻かれた観客は考え込みます。
そう、いつの間にか
まんまとマグリットの戦略にハマってしまいます。
もう一つ見てみましょう。
この絵にはとてもリアルに
パイプがひとつ描かれています。
でもパイプの下に
「これはパイプではない」と書かれています。
ん???なんで???
またもや、私たちは戸惑いますね。
マグリットはこの作品について
こんな絵の説明を残しています。
「またあのパイプですか?もういいかげん、飽き飽きしました。でもまあ、いいでしょう。
ところであなたは、このパイプに煙草を詰めることができますか。
いえいえ、できないはずですよ。これはただの絵ですからね。
もしここに「これはパイプである」と書いたとすれば、私は嘘をついたことになってしまいます。」
この絵のタイトルは
「イメージの裏切り」
マグリットはシュールレアリスム。
(元・印象派からの転身)
印象派と違って、見たものを
そのまま描くことはありません。
リアルな日常と非日常を
奇妙にブレンドした手法です。
マグリットの絵とタイトルは
あまりに乖離していて戸惑います。
これこそがマグリットの絵の魅力
巨匠と名を馳せた魔術です。
マグリットはこういいます。
「私は作品とタイトルに
関連性を考えてほしくはない」
え、考えてほしくない???
いやいやいや、、、
それはないでしょう。笑
本当に考えてほしくない人は
あえてこんなタイトルを付けないわけで
「考えてほしくはない」
と発言をしたこと自体もまた
「イメージの裏切り」かもしれません。
作品タイトルを
ある意味最大限に生かして
マグリット・ワールドに引き込む。
圧倒的な実力があってこそですが
こんなタイトルの付け方も
面白いですよね。
ただし、この手法は
よほどの実力と内容が伴わない場合は
ただの
「訳わからない変な人」
「メンドクサイ人」
認定になるので、ご注意を。
割と危険な賭けですね~w
作品タイトル~かっこいい絵画タイトルの付け方
以上、歴史に残った
名画のタイトルを見てきました。
タイトルは
作品が作家の手を離れている間も
見る人と作品の会話の糸口となる
大事なコミュニケーションツールです。
あなたの作品が恵まれた人生を送るために
面倒でも
苦手でも
タイトルと向き合うことを
決して逃げないでください。
色んなタイプのタイトルがありましたが
初級~中級レベルの皆さんは
素直に王道を行くのが一番です。
「見る人の理解を助けるタイトル」
「主張するタイトル」
は強い。
・絵に込めた意味や主張
・内容を表すもの
・世界観にピッタリのフレーズ
・興味を持たせる
・作品の色から連想を広げる
こんな感じで浮かんだタイトルを
どんどんメモしていきましょう。
かっこいい絵画タイトルの
付け方のコツとしては・・・
・名画に学ぶ
・普段の生活でひらめきをメモしておく
・歌のタイトルもヒントになる
・小説、映画のタイトルで
びびっと来たらメモっておく
・漢字系のタイトルなら
国語辞典、漢和辞典、熟語辞典を読む
・シリーズにする
(テーマを追及していることが伝わる)
特に絵を描いている期間は
トイレで
寝る前のまどろみで
夢の中で
電車の中で
パッとひらめくことがよくあり
すぐにメモしないと消えてしまうので
メモ帳を持って歩くといいでしょう。
アイデアは本当に水ものです。
後で書こう・・・はほぼ消えます。
私はベットのそばの
寝ぼけていても手が届くところに
メモ帳と鉛筆を置いて寝ています。
そして、作品タイトルが見つかったら
最後のチェックです。
「絵を見たくなるタイトルか?」
「作品内容やあなたの強みを表せているか」
「あなたの思いがこもっているか?」
「声に出した時、ゴロは良いか?」
「キャプションに書いた時の
ビジュアルはどうか」
*キャプションと言うのは
タイトルや素材の情報を描いた札
この5点をチェックしてください。
さあ、これであなたも
かっこいい作品タイトルが
付けられるようになりましたね♪
作品タイトル~絵のタイトルを英語でつける方法と注意点
作品タイトルを英語でつけたい時は
「グーグル翻訳」を使いましょう。
翻訳の仕方は
左スペースを日本語にして
日本語を貼り付けます。
右スペースを英語にして
「Enter」をクリックすれば
日本語が英訳されます。
誤変換を避けるためには?
①日本語はなるべくシンプルにしましょう。
②逆翻訳で確認しましょう。
直訳で安心してはいけない
③ニュアンスにも気を付けること
可能なら現地の人に確認する
私の経験ですが
例えば
盆栽アート作品のタイトルで
豆盆栽(小さな盆栽、の意味)
を翻訳すると
「Bean bonsai」
=豆の盆栽になってしまいます。
松の豆盆栽なのに
豆の盆栽になってしまうのです。笑
こういうこともあるので
翻訳機は使いますが
結果をうのみにせず
誤変換がないかのチェックはしましょう。
英語が苦手な人にもできる
簡単なチェック方法があります。
日本語→英語、に翻訳したら
その英語をもう一度
日本語に翻訳するのです。
こうすれば先ほどの英訳も
「豆の盆栽」と和訳されるので
これはおかしい、と気付きます。
また、まわりに
英語ができる人がいたら
ちょっと見てもらうのもいいと思います。
毎回、丸投げは嫌がられますが
自力で翻訳したものを見てもらうくらいなら
大丈夫だと思います。
また、
英語以外の言語でタイトルを訳すときも
いったん英語にしてから
フランス語やイタリア語に変換する方が
言語構造が似ているので
ミスが少ないです。
また、言葉は正しくても
ニュアンスや風習の違いによって
生じる誤解を避けたい時は
FBなどで日本語が分かる現地の方に
確認してみるのもオススメです。
以前、イタリアの美術展に参加した際に
私は鳳凰の絵を出したのですが
たまたま美術展開催地の
近隣のライバルチームシンボルが鳳凰で
「○○の上空を鳳凰が舞う」
というタイトルは、試合に負けた時の
スポーツ紙の見出しに使う表現ですよ、と
イタリアの生徒さんに教えてもらいました。
そんな地元情報は現地の人でもない限り
絶対に、知りえないですよね。
びっくりでした!
翻訳が完璧でも、そういうことがあります。
あまり神経質になっても困りますが
もし可能なら
チェックしてもらえると安心です。
作品タイトル~風景画のタイトル
風景画はとても情報量の多い絵です。
モネの「睡蓮」も池があり草があり睡蓮がある。
作家はたいてい、その風景の中で
一番描きたかったものをタイトルにします。
作品タイトル~花の絵のタイトル
花やフルーツの絵は描いた物の名前をそのまま
素直にタイトルにすることが多いようです。
作品タイトル~抽象画のタイトル
抽象画は何を描いたか
その目的によってタイトルも色々です。
美術学校の先生らしく
何作もこのテーマを追求し
前衛美術家の基盤を開拓した
カンデンスキーの「コンポジション」。
コンポジション=構成、組み立てること
カンディンスキーが描く形や色は
画家自身の内面表現であり
科学的、客観的な観察ではなく
主観的で経験的な表現だった。
バウハウスの美術学校で教鞭をとり
最も重要な前衛美術家の1人として
地位を確立した作家です。
1910年から1913年までの間に描かれた
「コンポジション」シリーズは
カンディンスキーの代表的な精神的表現で
まるで音楽のようです。
(孫は音楽学者)
カンデンスキーと同じく
パウル・クレーも
ドイツのバウハウス美術学校の先生でした。
しかし前衛画家という事でナチス迫害にあい
故郷のスイスに亡命します。
しかし、ドイツ国内の銀行口座が凍結され
皮膚硬化症という難病を発症し
身も心もボロボロの厳しい生活を強いられました。
このかわいらしい天使の絵は、
そういう状況の中で制作されたシリーズです。
「泣いている天使」や
「鈴をつけた天使」
「幼稚園の天使」
天使の絵がたくさん
シリーズ作として発表されています。
作品タイトル~絵の説明の書き方
展覧会に常駐できないとき
作品タイトルのほかに説明もあると良いですね。
美術展の出品でも海外は特に
絵の説明を提出することが多いです。
既にキャプションは別に書いている場合は
以下5つポイントが分かるように
その時に指定された字数内で
簡潔な説明文にします。
(200~400字前後が一般的かと思います)
①絵のジャンル
②画材や手法
③追及しているテーマ
(創作意図)
④サイズ
⑤価格
(例)
純金箔押し細密曼荼羅アート「浄化再生~鳳凰Ⅳ」
(Purification and regeneration) ○○万円 ←⑤価格
サイズF10号(○○✕○○) ←④サイズ
・手描きペンアート、水彩、純金箔押し ←①絵のジャンル
【技法について】
これは全て手描きによるペンアートの細密画です。
紙に水彩絵の具、顔料、墨などを用いて着色し ←②画材や手法
約2か月かけてペンアートで緻密な細密画を描き、
最後に純金の金箔を貼り付け、瑪瑙で磨いて仕上げています。
【作品のストーリー】 ←③創作意図
2020年、世界中がCOVID-19の業火に焼かれ
今、人類は大きな試練の中にいる。
皮肉にも人類が活動を止めると、大気汚染は改善され
わずか数か月で空気はきれいになり、植物も元気になった。
COVID-19は人類にとっては過酷な試練だが
自然にとっては、そのパワーを取り戻すための
「浄化と再生」の恵みでもあった・・・
というインスピレーションを得て、私はこの作品を描いた。
大きく描いた「鳳凰」は
日本では幸せを運ぶ「神の使者」で、私が愛する題材の一つ。
今回の鳳凰は右の翼が炎(浄化)、左の翼が花(再生)。
その視線の先には、富士山(日本のシンボル)の上空に昇る太陽(希望)が輝いている。
鳳凰は自然を破壊する愚かな人間の欲を焼き尽くし
世界を浄化して、豊かな自然を再生しようとしている。
COVID-19は、自然界から人類への警告だ。
私たちは失われた多くの命を無駄にしてはいけない。
未来のために、かけがえのない地球を大切にし
豊かで美しい自然と共生していこう。
そして一日も早く、世界が健全に復興できますように
という祈りをこめて描いた。
字数制限があるときは
文字数カウントを使うと便利です。
ちなみにキャプションについては
以下の5項目を大きめのカードに
箇条書きで書くのが一般的です。
①作品タイトル
(フリガナ)
②作家名
③技法、使用した画材
④制作年月日
⑤価格
キャプションの書き方については
詳しくはこちらのリンクで
詳しく解説していますので
ぜひ、ご参考にどうぞ。
↓ ↓ ↓
【プロフィールの書き方】ポートフォリオ・自己紹介・キャプション展示
作品タイトル~まとめ
かっこいい絵画タイトルの付け方まとめ
①普段の生活でひらめきをメモしておく
②歌のタイトルもヒントになる
③小説、映画のタイトルで
びびっと来たらメモっておく
④漢字系のタイトルなら
国語辞典、漢和辞典、熟語辞典を読む
⑤シリーズにする
いかがでしたか?
良いタイトルを付けてくださいね~♪
*ダリのタイトルの付け方も参考になりますので
ダリの13章目を是非ご覧ください。